「私たちは『開発論』の対象となっており、利益を享受する人びとと、影響を受けたり不利な立場に置かれる人びとがいます。ラヨーン県の人びとは『開発』のために犠牲を払わなければならないとよく言いますが、『開発』がもたらしたのは失望だけです。人びとの漁師としての生計手段は完全に変わってしまいました。そして、この伝統を継承する人がいるかどうかもわかりません。」
「東部臨海地域とラヨーン県における大規模な開発には、埋め立てや港湾建設が含まれます。工業部門の拡大は、地元の漁師たちの暮らし方に影響を与えています。沿岸地域のコミュニティは自然資源と環境に依存し、この「特別開発区」が建設される前からラヨーンの主要産業である漁業で生計を立てています。私たちはこの生計手段、この生き方を大切にし、将来の世代に引き継いでいく必要があります。」
東部臨海開発(ESB)プログラムの進行中、地元の人々は海の埋立てやマプタプット港の建設などのプロジェクトに直面しました。
開発の名のもとに、農地は広範囲にわたって産業ゾーンに転用されました。経済拡大を目指して設計されたEEC(東部経済回廊)は、沿岸地域に進出し、地元の漁業を損ない、海洋生物が減少しました。
ラヨーンのマプタプットにあるLNG輸入ターミナルは、この物語の一例です。
ターミナルは、2つのガス消費量の多いJBIC融資の発電所に供給しています。ガルフSRCガス焚複合火力発電所(JBICが2億2,700万米ドルを融資)とガルフ・プルアック・デーン火力発電所(JBICが2億800万米ドルを融資)です。
船舶の往来による生物多様性の損失に加え、油流出事故が海洋生態系の重要な一部であるオキアミを壊滅させました。かつて数トンに及んでいた太刀魚の漁獲量は、今では数キログラムにまで減少しました。いかなる機関や団体も責任を追及されたことはありません。
現在、コミュニティは公平な補償を求め、環境回復を要求しています。しかし、政府も民間企業も責任を取っていません。