「ムルジュガの古代岩絵に描かれた物語の中にあるソングラインのつながりは、オーストラリアの多くの聖地と結びついています。これらの聖地の物語は、ファーストネイションの男女が私たちの文化的伝承を実践し、母なる地球のすべての生命の長寿と持続可能性を維持するための儀式的なポイントとなっています。海底の掘削や爆破、ガスなどの資源の採掘によって海の国や陸地で断線が起きると、これらのソングラインは支障をきたし、生命を脅かすガスの排気や水路の汚染が引き起こされます。周辺地域内外の人びとや動植物の健康のために、清浄な水と空気を維持することが極めて重要なのです。」
スカボロガス田開発事業は、ウミガメの営巣地や、この地域に回遊し採餌する絶滅危惧種のピグミーシロナガスクジラなどが生息する、繊細なサンゴ礁生態系を脅かしているバラップハブ事業の一部を形成しています。
ウッドサイド社は、事業が実施される陸地と海のカントリーの先住民族から、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」を得ることを怠っています。それどころか同社は地域コミュニティに対し、事業への反対を禁じる「沈黙条項」付きの合意書に署名させています。これは、国際的に認められた先住民族の人権を侵害する行為です。
さらに、LNG処理施設から排出される硝酸が、世界遺産にノミネートされている膨大な数の古代岩絵彫刻群を侵食しているという懸念があります。ウッドサイド社はムルジュガの岩絵を取り除いたことを認めています。
ウッドサイド社は、環境保護活動家に対する州の取り締まりを要請し、また、広告キャンペーンを使って西オーストラリア州政府に圧力をかけ、温室効果ガス規制を撤廃させることに成功しました。2024年、ウッドサイド社の株主の58%は、同社の気候変動対策計画と気候科学が求めるものとの間に深刻な乖離があるとして、計画に反対票を投じました。これは、企業の気候変動戦略に対する株主の反対票の世界記録となり、同時に役員に対する反対票も過去最多となりました。